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暁の死線 

作品名:
暁の死線
著者:
ウイリアム・アイリッシュ
稲葉 明雄 (訳)
出版社名:
東京創元社
(1969/4/25発行)
初出: 1944年



 スーツケースに、荷物を、夢を、希望を詰めて、ニューヨークに上京してきたブリッキー。
5年経った今、場末のホールで、足を売り物に、5分10セントで客のために踊るダンサーになっていた。故郷には、大きなショウに出演しているという手紙を送りながら。
 孤独なニューヨークで、たった一つの友達は、彼女の仕事の終わりを告げるパラマウント塔の時計台。粉々に砕けた、夢と希望のちらばる狭い部屋で、早く歳をとることだけを願っていた。
 ある晩、そんな彼女のところに、一人の若い男がお客としてやってきた。彼の名前は、クィン。彼女と同じ故郷の出身だという。わずかな時間で、お互いにうち解けあい、故郷に帰ってやり直そうと決める二人。だが、彼は恐ろしい犯罪に巻き込まれていたのである。故郷へ向かうバスが発車する朝の6時までに、身の潔白を証明しないと彼は捕まってしまう。
 深夜のニューヨークを奔走する、若い二人の犯罪捜査ドラマ。



以前も、レビューを書いた、ウイリアム・アイリッシュの作品。
『幻の女』(以前のレビューはこちら)と並ぶ代表的傑作だと言われています。


訳者の方が、あとがきで書いていたのですが、故江戸川乱歩は、ウイリアム・アイリッシュの傑作順位として、1位『幻の女』2位『暁の死線』3位『黒衣の花嫁』としていたそうです。
訳者の方も同感だとしていました。私は『黒衣の花嫁』を読んでいないので、まだ何とも言えませんが、確かに『幻の女』の方が、『暁の死線』より小説としては、よく出来ていたと思います。トリックというか、話の展開も秀逸でしたし。

ただ、好みで言えば、私は断然『暁の死線』の方が好きです。
なんと言っても、登場人物が魅力的なんです。
『幻の女』は面白いんですけど、登場人物は結構釈然としないところがあって、あんまり好きになれないのです。
その点『暁の死線』のブリッキーは、すごく一生懸命で、応援したくなります。
ニューヨークと言えば、夢を叶える街というか、アメリカンドリームという言葉を体現しているようなイメージでしたが、ブリッキーにとっては、そうじゃない。
もちろん、最初はそう思っていたからこそ、上京してきたのだけど、今は現実に打ちのめされてしまった。彼女はよく言います。都会は性悪でねとか、都会は卑怯者なのとか。
「ニューヨークの街はよその土地からやってくる」
夢を描いて、何千人と上京し、無我夢中で出世街道をかけのぼっていくけれど、ちょっとでも弱かったり、手助けが必要だったりしたら、たちまち都会は襲いかかって痛めつけるのだと、だから、都会を憎むし、敵なのだと。
そんなブリッキーの孤独が、アイリッシュ独特の詩的な文章で綴られ、哀愁漂います。

ですが、クィンに出会ってからは、驚くほど行動的。帰りたくても帰れなかった故郷。一人では無理だけれど、クィンと二人なら帰れるという希望が、彼女を強くしているのです。
刻一刻と迫りくる、出発の時間。二人は、ほんのわずかな手がかりを追いながら、捜査を進めていきます。
終始、緊迫した雰囲気の中、どんどん読み進んでいけます。
二人は、無事に故郷へのバスに乗れるのか?
結果は、是非、本書を読んで、確かめてください。



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[ 2007/06/03 01:03 ] [書評(小説)]暁の死線 | TB(0) | CM(0)

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